変化の速い市場環境のなかで、データにもとづいて機敏に動き、継続的に成長していく企業ほど、RevOps(レベニューオペレーション)を経営戦略の中核に据えるようになっています。ただ、RevOpsという考え方を導入するだけでは十分ではありません。実際に成果を出すためには、それを支える組織構造——つまりRevOpsチームそのものを、どう設計するかが問われます。
「RevOpsという言葉は知っているが、実際にどんな人を、どう配置すればいいのか分からない」——そう感じている経営者やマーケティング・営業責任者は少なくないはずです。RevOpsチームの形は、会社によって大きく異なります。しかし、成功している企業には、いくつかの共通する設計の原則があります。
本記事では、RevOpsチームが実際に担う役割や、組織に欠かせない重要な役割、チーム構造を左右する要因を整理したうえで、貴社に合ったRevOpsチームを構築するための具体的なステップを解説します。
先に押さえておきたい4つの要点
- RevOpsチームは、企業全体の収益戦略を統括する役割を担う
- 経営幹部と、GTM(Go-to-Market)関連部門のVPは、RevOpsチームにとって欠かせない関係者になる
- RevOpsチーム構造の頂点に置く理想的なリーダーは、CRO(最高収益責任者)である
- 企業規模・予算・RevOpsの成熟度によって、チーム構造の最適解は変わる
RevOpsチームは何をするのか——4つのGTM部門を横断し、収益戦略を統括する
RevOps(レベニューオペレーション)チームは、マーケティング・営業・財務・カスタマーサクセスという、事業の中核を担う4つのGTM部門を横断し、収益戦略全体を統括する役割を担います。既存の収益を最大化するだけでなく、組織全体で新たな収益機会を生み出すことにも責任を持ちます。
RevOpsチームが担う、より具体的な役割・責任には、次のようなものがあります。
- GTM各部門をまたいだ連携を促進する
- 収益戦略について経営幹部とコミュニケーションを取る
- テックスタック(各種ツール群)を最適化する
- データを分析し、収益に関わるKPI(重要業績評価指標)についてレポートする
- 部門横断的にGTMのオペレーションを支援する
- プロセスを効率化し、変化をマネジメントするための工夫を続ける
これらの大きな責任の中には、さらに多くの具体的な役割やタスクが含まれています。RevOpsが実際に機能する組織になるためには、こうした一つひとつの役割を担う人材が必要です。
RevOpsチームに欠かせない4つの役割——経営幹部からPeople・Process・Technologyの実務者まで
RevOpsチームの具体的な組織構造は企業によって異なりますが、必ず関わるべき重要な人材がいます。
①経営幹部(C-suite)
経営幹部がRevOpsという戦略に賛同し、チームを後押しすることが欠かせません。経営陣がRevOpsを推進する姿勢を示さなければ、既存の各部門と関わりながらも、独自の役割を確立できないまま機能不全に陥ってしまうリスクがあります。
②マーケティング・営業・財務・カスタマーサクセスの各VP
4つの主要なGTM部門を率いるVP(またはそれに準ずるリーダー)は、RevOpsチームの正式なメンバーではない場合もありますが、その協力なくしてRevOpsは機能しません。これらのVPは重要な関係者として位置づけ、新たにRevOpsチームを立ち上げる際や、既存のチームを改善する際のプロセスに加わってもらう必要があります。
③CRO(最高収益責任者)
CRO(Chief Revenue Officer、最高収益責任者)は、現代の収益戦略をマネジメントするための独自の経験を備えており、RevOpsチームを率いる理想的なリーダーです。一般的にCROは、RevOpsが包含するさまざまな役割・機能にわたって10年以上の経験を持つエグゼクティブです。
CROは特定のGTM部門に肩入れすることのない、客観的な立場のリーダーです。他の経営幹部と対等な立場にあるからこそ、RevOpsを推進するうえで欠かせない社内の合意形成を実現できます。
④People・Process・Technologyを担う実務メンバー
RevOpsが目標を達成する仕組みは、「People(人材)」「Process(プロセス)」「Technology(テクノロジー)」という3つの柱によって支えられています。適切な人材を採用し、効率的なプロセスを整え、テクノロジーツールの活用と連携を最適化することで、収益目標の達成に近づいていきます。
RevOpsチームの組織構造には、この3つの柱それぞれを支える実務メンバーが必要です。具体的な構成は企業によって異なりますが、それぞれの柱に関連する経験領域はおおむね次のとおりです。
柱 | 主な経験領域 |
|---|---|
People(人材) | 人事、従業員エンゲージメント、能力開発、チームビルディング、リーダーシップ |
Process(プロセス) | オペレーション、コンサルティング、業務プロセス分析、ポリシー策定、マネジメント |
Technology(テクノロジー) | ソフトウェア開発、エンタープライズアーキテクチャ、ベンダーマネジメント、ITサポート |
RevOpsチームの構造を左右する3つの要因——企業規模・予算・成熟度
①企業規模
組織の規模によっては、専任のRevOpsチームを新たに、しかも一気に立ち上げるだけの余力がない場合もあります。多くの中小企業では、前述したような関係者で構成する「RevOps委員会」からスタートするケースが少なくありません。
CROを採用しても、直属のRevOpsチームを編成しない企業もあります。その場合CROは、他のGTM部門のリーダーと協力しながら(場合によってはそれらを統括しながら)、RevOps戦略を構築・実行していきます。
②予算
組織の規模が大きく、新たにチームを採用する余力があったとしても、予算によって採用できる人材のレベル(未経験者中心か、シニア層中心か)や、採用のペースは変わってきます。適切な人材を優先順位づけて採用していくためには、RevOpsチームにかけられる予算をあらかじめ設定し、把握しておくことが重要です。
③RevOpsの成熟度
RevOpsチーム構造の中で、どの役割を優先すべきかは、自社のRevOps成熟度によっても大きく変わります。たとえばRevOpsの取り組みがまだ初期段階にある場合は、収益の可視化と分析力を高めることに重点を置く必要があります。運用が軌道に乗ってきた段階では、サポート業務を担う人材など、より幅広い役割に力を入れられるようになります。
なお、正式なRevOpsチームが存在しないからといって、RevOpsの成熟度が低いとは限りません。チームを構築する前に、自社のRevOps成熟度を評価し、それに応じて採用戦略や組織構造を検討することが重要です。
RevOpsチーム構造を構築する4つのステップ——関係者の巻き込みから採用実行まで
①主要関係者を巻き込む
ここまで見てきた主要な関係者を、新しいRevOpsチームの計画や、既存チームの戦略改善のプロセスに巻き込みましょう。関係者を巻き込むことは、RevOpsへの理解と協力を得るだけでなく、従業員や顧客により多くの価値を届けるための重要な視点をもたらしてくれます。
②リーダーを任命する
CROを採用しない場合であっても、社内の誰かをRevOps推進の責任者として任命する必要があります。立ち上げ初期は、委員会の代表者がその役割を担うこともあるでしょう。CROの採用をまったく予定していない場合は、CFOやCOOがその役割を引き受けるケースもあります。実際に誰が適任かは、社内の人材や役割分担によって企業ごとに異なります。重要なのは、RevOpsを統括するだけの経験と、それに割ける時間、そして意欲を持った人を選ぶことです。
③組織構造を可視化する
チームの構築方針が決まったら、その構造を目に見える形にしましょう。シンプルな組織図で構いません。大切なのは、社内で共有でき、RevOpsチームの構造への理解を組織全体に広められる、具体的な形にすることです。
④採用を実行する
ここまでの準備が整ったら、いよいよ実行に移す番です。人事部門と連携しながら、丁寧な採用プロセスを進め、RevOpsチームのビジョンに合った適切な人材を迎え入れましょう。
Xactlyが RevOpsチームの構築・運用を支援する方法
Xactly Revenue Intelligence Platformは、精度の高いプラン設計、より効果的なインセンティブ、データにもとづいたインサイトを通じて、営業担当者がパイプラインに自信を持てるようにし、RevOpsチームを一つにまとめる役割を果たします。
計画・インセンティブ報酬・フォーキャスト・実績データを一つのプラットフォーム上でつなげることで、RevOpsチームは部門をまたいだ収益戦略を、より高い精度で描けるようになります。
RevOpsチームの真価は、組織図の美しさではなく、部門を越えて人を巻き込み、データにもとづいて意思決定できる仕組みにこそ表れます。
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